現金や貯金、株券をそのままにして相続させるのは、相続税上とても不利になります。少しでも相続税を安くしたいのであれば、財産の形をかえて相続させると良いでしょう。
今回は、生きている間に考えたい、相続税の節税法「常識編」をお伝えします。
■資産別!税金の違い
現金はそのまま現金の価値ですので、どうあっても「減らさない限りは」相続税も減らすことができません。しかし、同じ価値のあるものでも「別のものに変える」ことで、相続税上の資産を減らことができます。
現金を別なものに変えて節税する方法で、もっともスタンダードなのが賃貸経営による節税と生命保険による節税でしょう。
特にアパート経営による節税は、元から土地を持っている資産家が考えておきたい方法です。
・建物を建てて相続税を安くする仕組み
現金で3億円を保有していたとします。このまま相続すれば、基礎控除分を除いた残りは相続税の対象になってしまいます。ところが3億円を使って建物を建てると、その評価額は3億円の半分程度まで落ちます。
これは、建物が「建築価格」ではなく「固定資産税評価額」によって評価されるためです。毎年市町村から支払いを求められる固定資産税、その税額を決める評価額は市町村が決定しています。
固定資産税評価額は建築価格の50~60%となっていますので、単に自宅を建てるだけでも大きな節税効果が出るのです。
この時建てたのがマイホームであり、相続時は配偶者が相続するのであれば「小規模宅地の特例」も受けることができます。小規模宅地の特例を受けると、課税評価額は80%減となりますので、現金資産に余裕があり自宅も建て替え時期という方は、マイホームの建築を考えても良いでしょう。
・アパートを建てて相続税を安くする仕組み
自宅ではなくアパートを建設すると、相続税評価額を下げることができます。これは建物の所有者がアパートの大家だけではなく、部屋を借りている人にもその権利があるという考えに基づいています。
これを借家権割合といい、建物部分については固定資産税評価額からさらに30%分差し引けるようになります。
・借金をして相続税を安くする仕組み
相続時に借金があると、その分は控除の対象です。よって、現金資産が3億円あろうとも、借金がそれ以上にあれば相続税はかかりません。
しかし、お金を持っているのに現金をわざわざ借りる必要はありませんよね。そこで上記のアパート経営と併用して利用する方法を考えてみましょう。
具体的には、アパートを建てるための土地や建設費用の一部をローンでまかなうだけです。例え自分が死ぬ前にローンを支払終えてしまったとしても、ローンの利息分はアパート経営での経費とできるため、損をすることはありません。
アパート経営を始めるときには、むりやり自己資金のみで費用を賄わず、ローンを利用することも視野に入れておきましょう。
■変えるとどのぐらい節税できる?
ここからは、実際にどのぐらいの節税効果があるのか計算してみましょう。
・現金3億円を配偶者と子ども1人が相続した場合
現金3億円を配偶者と子ども1人が相続した時、基礎控除は「法定相続人2×600万円+3,000万円」で4,200万円となります。3億から基礎控除分を引くと、2億5,800万円、さらに子と親で半分ずつ相続したとすると、一人当たりの相続額は、1億2,900万円です。
相続税の税率表に当てはめ、相続額を計算しましょう。税率は国税庁のウェブサイトより確認してください。
【リンク】相続税の税率 国税庁タックスアンサー(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm)
このページを確認すると、2億円以下の相続では税率40%、控除が1,700万円となっています。1億2,900万円に40%をかけると5,160万円となり、さらに控除の1,700万円を引き、親と子それぞれが3,460万円もの相続税を支払わなければいけないということがわかります。
・土地や建物に変えた場合
3億円を使って土地や建物を購入した場合はどうなるのでしょうか。
▶2億円で土地を購入、1億円でマイホームを建設した時
土地の場合、国が定めた「相続税路線価」で財産額が決定します。路線価の評価額は土地のある場所によって異なるのですが、だいたい売買価格の70~80%と言われています。今回は路線価が売買価格の80%だと仮定して計算しましょう。
マイホームの場合には、固定資産税評価額そのままとなりますので、購入価格の60%と仮定して計算します。
・土地2億×80%=1億6,000万円
・建物1億×60%=6,000万円
このとき、合計資産額2億2,000万円となり、3億円だった資産のうち8,000万円を減らせたということになります。
同じ価格の土地と建物であっても、アパートやマンションを建設するとさらに評価額はさがります。
■まとめ
このように、現金で資産を持つよりも、建物や土地に変えアパート・マンショ経営を行うことで大きな節税効果を生みます。但し今回の計算はあくまでも概算ですので、詳しい内容と節税額を知りたい方は、相続税のプロに相談しましょう。
不動産による節税だけではなく、生前贈与や生命保険による節税方法も詳しくレクチャーしてくれるでしょう。一人で悩む前に、まずはこちらまでご相談を。http://yuigon.jp/