遺書と遺言書、エンディングノートの違いがわからず、結果相続に関するトラブルに発展してしまうことがあるようです。
法律的に効力があるのは遺言書のみ、遺書とエンディングノートには法的効力はありません。正しい遺言書を作成し、遺族同士がトラブルにならないよう配慮しておきたいですよね。
今回は、法律的に効力のある正しい遺言書の作成方法について紹介します。
■法的効力のある遺言書の作成方法
法的効力のある遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。どちらを選んでも、「法律で遺言書として認められるための要件」を満たさなければ、正しい遺言書とは認められません。まずはそれぞれの要件についてみていきましょう。
・自筆証書遺言の要件
自筆証書遺言の要件は次の4つです。
・すべて自分自身が書くこと
・書いた日付を入れること
・印鑑を押すこと
・自分の名前をフルネームで記載すること
自筆証書遺言で気をつけたいのが、必ずすべて自分の手で文字を書かなければいけない点です。パソコンを使うことはもちろん、文字の一部をハンコでカバーするのも厳禁です。財産目録や不動産の図面についても手書きしましょう。
使用する印鑑は実印が望ましいです。実印を持ち合わせていない場合には、遺言作成前に自治体窓口にて印鑑登録をしておきましょう。
・公正証書遺言
自筆による遺言書はとても簡単に作成できますが、相続対象となる財産や相続人が多い場合には公正証書遺言を作成しましょう。公正証書遺言を作成する際には、本人以外に必ず証人を2人以上伴って公証役場で遺言書を作成しなければいけません。
公証役場で遺言書を作成する前に、事前に公証役場で打ち合わせをしておきましょう。遺言書作成の際には多くの専門用語が飛び交います。わからないまま適当に相槌を打たず、わからないことはわからないと正直に伝えましょう。
公証役場で遺言書を作成する時には、疑問や不安は一切ない状態で遺言書を完成させてください。
公正証書遺言に必要な書類は以下の通りです。
・本人の印鑑登録
・戸籍謄本
・不動産の登記事項証明書や固定資産評価証明書または課税明細書
・証人の氏名、住所、職業、生年月日
遺言を残す本人が体調不良等で公証役場へ行けない場合には、本人のもとに公証人が訪れることもできます。病気療養中の方は事前に公証役場へ相談しておきましょう。
公正証書遺言を作成する際には、弁護士や行政書士に依頼するとスムーズです。よくわからない法律用語や難しい相続の法律について、エキスパートが一緒なら安心して遺言を作成できます。
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■法的効力のないエンディングノート
法的効力のある遺言書とは異なり、遺書やエンディングノートには法的効力がありません。法的効力のある遺言書があれば、遺族は必ず遺言書通りに遺産相続しなければいけませんが、エンディングノートや遺書に相続について記しても、遺族はそれに従う必要はありません。
エンディングノートや遺書に記したものは「こうあってほしい」という故人の願いであり、必ず実行しなければいけないことではないということです。よって、大切な遺産の相続については法的効力のある遺言書を作成し、その他の「できればこうあってほしい」という願いは遺書やエンディングノートに記しておきましょう。
例えば、遺品の中でも金銭に代えがたい写真やデジタルデータの処分方法について、私物の処分方法などはエンディングノートに書いておきましょう。
■法的効力がない遺言書によって起こりうるトラブル
この法的効力がないエンディングノートや遺書があることによって、本来であれば必要のなかった相続争いが生まれることもあります。
法的効力のある遺言書があればそれを実行するのみ、なければ均等に遺産を分割するだけです。しかし、法的効力がない故人の思いが残されることで、次のような争いが生まれるかもしれません。
・長男にだけ財産を残したいパターン
「長男に土地家屋を相続してほしい」と書いたエンディングノートが、父親の死後に見つかりました。父親の残した財産はこの自宅ぐらいだったので、残り2人の兄弟は納得がいきません。
どうしても遺産を諦めきれない他の兄弟が、「土地家屋を現金換算して、三等分し、長男が現金を残りの2人に分ければいい」と主張。長男は「現金にならないどころか毎年税金のかかる土地家屋の手入れがあるのにそんなお金はない」と反論します。
この時、長男も「エンディングノートがなければ土地家屋を売却したのに」という思いを抱いていました。父親の土地家屋を残したいという気持ちを長男が汲んだ結果、3人兄弟には溝が生まれてしまいました。
・お葬式のトラブル
自分のお葬式に希望を持っている人も多いでしょう。そういった場合、エンディングノートにどんなお葬式をしたいか内容を記している方も少なくありません。
しかしいざお葬式をする段になって、希望のお葬式が叶えられないこともあります。遺族にとってはこれほど辛いことはないでしょう。
エンディングノートには法的効力がないとはいえ、故人の希望は叶えてあげたいと考えるものです。そこでオススメなのが生前契約です。生きている間にお葬式の契約を済ませておき、エンディングノートにはそのことを記しておきましょう。
「小さなお葬式」の生前契約なら、しっかりと証明書が発行されるため、遺族の混乱をさけることもできます。詳しくはこちら(http://www.osohshiki.jp/)よりお問い合わせください。
■まとめ
自分が亡くなった後、最も心配なのが遺産相続やお葬式についてですよね。法的効力のある遺言書を作成し、法的効力のないエンディングノートではお葬式についてフォローしておくというのもひとつの方法です。
なるべく家族に大変な思いをさせたくない、という方は、遺言書とエンディングノートでしっかり対策をとっておきましょう。