終活や生前贈与を進めていく中で、「墓じまい」をするべきか悩む人も多いようです。墓じまいとは、代々継承してきたお墓を処分し、遺骨を改装することをいいます。
ここでは、墓じまいをする理由や方法、その平均費用について詳しく解説します。
■墓じまいとは
冒頭でも少し触れましたが、今あるお墓を壊し墓地を整えることを「墓じまい」といいます。なぜ今墓じまいをする人が増えているのか、その理由は主に次の3つです。
・後継者がいない
子孫がおらず後継者がいない、または子孫はいるものの、お墓から遠い地に住んでいてお墓の面倒をみることが難しいという場合に墓じまいが行なわれます。
・現在すでに墓の手入れが負担
お墓の手入れをするものがすでに誰もいない状態の時、墓じまいを決める人もいます。きょうだいや親戚のすべてが引っ越してしまって誰もお墓の近くにいない、親戚が皆高齢になってしまいお墓の手入れが負担になっているという理由で墓じまいすることもあります。
・お墓を移転したい
墓じまいをしたあと、永代供養をせずに遺骨を新しいお墓に引っ越すこともできます。この場合、墓じまいの費用に合わせて、新しいお墓を立てる費用も必要となります。
お墓の管理をしている人の移住に合わせて移転させる、もしくは山奥にあってお参りしづらいお墓を管理しやすい場所へ移転するために行なわれます。
■墓じまいの方法について
墓じまいは、改装手続き、遺骨の移送→墓石の解体→撤去の手順で行なわれます。具体的にどのように手続を進めていけばよいのか、詳しく見ていきましょう。
1.墓じまいの前に
墓じまいを決めたら、最初にやるべきことは「親戚への連絡」です。親戚の知らないうちに墓じまいをしてトラブルに、なんてことにならないよう、親戚一同の承諾を得てから墓じまいの手続きを始めましょう。
お墓を新しく作る「移転による墓じまい」の場合、まずは移転先となる墓地を決め、墓石購入の手続きをしておきましょう。その際、移転先の墓地となる管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。
移転せずに永代供養をする時には、墓じまいの前に現在のお墓の管理者へ墓じまいをする旨を伝えておきます。この時、墓地の使用許可証を受け取りましょう。
2.公営墓地・民間墓地とお寺にあるお墓の違い
公営墓地や民間墓地では、改葬する旨を伝え手数料を支払えば、すぐにでも改葬手続きが行なえます。しかし、埋葬先がお寺にあるお墓の場合、改葬を認められないこともあるでしょう。
お寺にあるお墓を墓じまいするということは、そのお寺の檀家をやめてしまうことを意味します。檀家がいなくなればお寺の収入も減ってしまいますから、墓じまいについてよく思わないお寺も中にはあるようです。
また、檀家をやめる時にはお寺側に「離檀料」を支払わなければいけません。離檀料はお寺によって異なります。金額はは5万円~30万円ほどが多いようです。
3.改葬手続き
移転先の墓地から受け取った受入証明書または使用許可証を持って、現在の墓地から「埋葬証明書」を受け取ってください。埋葬証明書が手に入ったら、次は市役所へ行き改葬手続きを行ないます。
改葬許可を申請すると、改葬許可申請書の提出を求められます。必要事項を記入し、埋葬証明書と受入証明書または使用許可証といった必要書類を添えて申請書を提出してください。
※改葬手続きの方法はお住まいの自治体によって異なります。事前に市役所で改葬手続きに必要なものを聞いておきましょう。
4.遺骨の取り出し
墓石の撤去を依頼する石材店や、供養を行なうお寺と打ち合わせし、遺骨の取り出しと墓じまいの日程を決めましょう。遺骨を取り出す際には、「閉眼供養」が必要です。閉眼供養を行ない、遺骨を取り出したあと、墓石を撤去します。
5.永代供養または移転
最後に遺骨を再び供養し、墓じまいはこれで終了となります。
■墓じまいの費用
このように、墓じまいには多くの手間と時間を要します。思った以上に時間のかかる墓じまい、気になるのはその費用についてですよね。
墓じまいにかかる費用は以下のとおりです。
墓じまいに必要な費用 | ||
永代供養 | 墓地移転 | |
供養料 | 2~5万円 | |
墓石撤去費用 | 1㎡あたり10~20万円 | |
移転費用 | 10~200万円(永代供養の依頼先によってまちまち) | 200万円程度 |
離檀料(お墓がお寺にある場合) | 5~30万円 |
永代供養で移転先にかかる費用が10万円、離壇料も必要のない場合には墓じまいにかかる費用は30万円程度です。墓地を移転し、移転先で墓地と墓石を購入する必要があり、離壇料もかかってしまう時には200~250万円ほどかかってしまうこともあるでしょう。
なるべく費用を掛けずに墓じまいをしたい時には、お金のかからない「合同祭祀」による永代供養を行なうと良いでしょう。
■まとめ
墓じまいでは、単に墓石を撤去するだけではなく、供養や改葬許可の申請が必要であることがわかりました。
墓じまいに時間もお金もかけられない場合には、手続きから墓じまい、永代供養まですべてがセットになったワンストップの業者を選びましょう。
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