悲しい現実は前触れもなくやってくる

住宅ローンも返し切ってない状況で突然パートナーが亡くなってしまった。悲しみに暮れる間もなくいろいろな手続きが押し寄せます。

 

今持ち家や分譲マンションにお住まいの方なら住み慣れた環境にこれからも住み続けたいから不動産の相続はしたいと思う人がほとんどではないでしょうか。でもその場合って住宅ローンの返済も引き継がなければならないのでしょうか?

 

結論から言うと、実は残ったローン返済分は払わなくていい場合がほとんどです。

住宅ローンを借りるときには、原則として「団体信用生命保険」というものに加入します。

 

これが「団信」と呼ばれる保険です。一部例外はあるものの、住宅ローンの借り入れの条件になっていることが多いのでほとんどの人が加入している保険です。

団体信用生命保険とは、ローン契約者が死亡・高度障害状態など支払いを行うことができない状態になった場合、保険会社が金融機関に住宅ローンの残額分を支払ってくれる保険です。

 

https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/danshin/index.html 住宅金融支援機構ホームページ

※住宅金融支援機構の団体信用生命保険特約制度のページに移行します。

 

団信とは何?どんなもの?

団信とは団体信用生命保険の略称です。もし債務者(借主)が団体信用生命保険に加入していたら、借主が死亡した場合その時点で残っている借入金はその保険金で支払われます。

 

最近では3大疾病や7大疾病などの特約が付いたものや介護保障が付いたものなど、保障内容が拡大されてきているものもあります。

 

どうやって団体信用生命保険の加入状態を調べればいい?

実際に加入できているのかどうかは債務者が住宅ローンを契約している金融機関に問い合わせるとすぐに分かります。

 

ただ、契約者本人以外の人が問い合わせる場合は身分証明を求められます。各金融機関によって必要書類が違うので事前に調べてから問い合わせるとスムーズでしょう。

 

実際問題として団信に加入していることを知らずに住宅ローンを支払い続けるケースはよくあるようです。

でも本来はローン返済は継続しなくてよかったのです。では返済する必要のないローン返済金はどうなるのでしょう。

 

 

払ってしまった分はどうなるのか?

知らずに支払いを続けていたローン返済金については、基本的に全額戻ってきます。

気付いた時点ですぐに契約先金融機関に問い合わせるようにしましょう。

また、団体信用生命保険で支払われたローン残額分は相続税の対象外となります。

因みにこれらの情報はほとんどの金融機関が住宅ローン契約時に説明しています。

 

しかし覚えている人が少ないのが現状なのです。

契約書類はきちんと保管するなどして大事な情報は管理しておくべきですが、実際は多くの方が切迫した状況に直面してから困っている人がたくさんいます。

もしご自身や周りに困っている人がいたらぜひこの情報をお役立てください。

 

団体信用生命保険に加入していない場合は?

あまりないケースではありますが稀に団体信用生命保険に加入していないことがあります。

この場合遺族はその住宅ローンの名義変更をしてご自身で返済していくか、もしくは残額を一括で完済するか、どちらかを選択しなければなりません。

ただ、返済目途が立たない方もいらっしゃるでしょう。その場合ローンを引継がないという選択肢もあります。

 

ローンを引き継ぎたくない場合の方法

引き継がない方法とはつまり、「相続の放棄を行う」という方法か「限定承認する」という方法です。

相続する財産は資産価値(プラス)と債務(マイナス)を相殺されて相続されます。

資産が点在していたり、住宅ローンや自動車ローンなど債務も幾種類もある状態では結果としてプラスになるのかマイナスになるのかが分からないこともあるでしょう。そのようなケースは「限定承認」という方法があります。

 

相続する財産を合計して債務の方が大きかったとしても、そのマイナス分は放棄できるのです。

相続については法定相続人の存在や必要手続きや確認事項など手続き処理がかなり煩雑となります。相続を放棄した方がいいのか限定承認した方がいいのかよく分からない場合は専門家に相談する事をお勧めいたします。

※日本法規情報株式会社のぺージに移行します。こちらでは相続関連の手続きを代行してくれる税理士事務所を全国各地で紹介してくれます。詳しくはメールで相談してみてください。

 

優先すべきは大切な人へのお別れ

しかしこれらのことはあくまで方法のひとつであって個々人の事情は十人十色です。

ご自身が置かれている状況に応じて決断する事が重要です。

専門的な事である上にそれぞれの事情に対して最適な方法を自分で見つけるのは困難です。

 

何より優先すべきは当事者となった方が今後のことを考える時間や気持ちを整理できるような時間のゆとりを持つことです。最優先すべきはこういった事ではないでしょうか。

専門的な事は専門家にお任せしておくということが賢い選択となるでしょう。

これからのために備えましょう。

 

もしものことは唐突に訪れます。残された大事な家族のために「今」できることを準備しておきましょう。

何よりご自身が安心してこの先よりよく生きるためにも、ご自身の半生をまとめておくことをお勧めします。まとめてみるとフッと忘れていたやりたかったことや自分の原点を思い出せるきっかけにもなって、生きる力が湧いてくる人もいます。

「エンディングノート」とは大仰な響きですが、ご自身の生きてきた道程を書き記す長い日記みたいなものと考えてみてはいかがでしょうか。「自分半生記」と考えると達成感もあるものです。

エンディングノートについてはこちらをご覧ください。

https://tedxtitech.com/archives/117 エンディングノートの詳しい書き方を紹介