生前整理とは、生きている間にさまざまなものを整理することをいいます。生前整理には不必要なものを片付けるだけではなく、財産や思い出の整理も含まれます。

 

しかしこの生前整理、やりすぎると残された家族に大きな負担をかけてしまうことがあるようです。ここでは、ひとりよがりではなく家族のためにやっておきたい生前整理と、生前整理のやりすぎで起こりうるトラブルについて紹介します。

 

■生前整理で行うべきこと

生前整理で行うべきことはいくつかあります。それぞれについて詳しくみていきましょう。

 

・家の整理

まずは家の整理をしましょう。納戸やクローゼットに不必要なものをしまいこんでいませんか?ガレージに粗大ごみを溜め込んでいるという方も多いでしょう。このようなものが残っていると、死後の遺品整理に家族が大慌て、なんていうことになってしまうかもしれません。

 

それほどゴミはないが、家族にはみられたくないものがあるという方も、生前整理で処分しておくと良いでしょう。

 

ゴミの量が多い方は生前整理業者を利用するのもおすすめです。なんでも捨てたくないという方は、売れそうなものはリサイクルショップへもっていき、もったいないものは人に譲れないか相談するなど、捨てる以外の方法を模索すると気持ちも落ち着きます。

 

・財産の整理

あらためて財産を書き出してみましょう。遊休農地がある、まったく触っていない株券があるという方は、売却するか、あらためて投資を考えるという手もあります。

 

貴金属は売却して現金にしてしまうこともできますが、古いデザインのアクセサリーなどは現代風にリメイクして子どもや孫に譲ってもいいでしょう。

 

預貯金のある口座が分散しているのであれば、ある程度まとめておくことをおすすめします。口座があるぶんだけ家族は手続きの時間を取られます。使っていない口座は解約し、普通貯金に入ったままの現金は定期預金や投資用の原資としてもいいでしょう。

 

・思い出の整理

子どもが工作でつくった各種作品や絵、賞状、メダル。もしくは自分が趣味で作った工芸作品などは、必要なもの以外は思い切って捨ててしまいましょう。

 

例えば、絵や書、賞状はスキャニングしてデータ化するという手もあります。メダルは箱に入れてまとめておいてもいでしょう。工芸作品などがある方は、生前の形見分けとして親しい人にプレゼントするのもおすすめです。

 

・データの整理

写真や動画、はたまた仕事のデータに家計簿のデータなど、パソコン、スマホ、タブレットに膨大なデータを残している方はデータの整理を行いましょう。ジャンルごとにフォルダにまとめ圧縮するだけでもスッキリとします。

 

家族に見られたくないデータがある方は、自分の死後にパソコンの初期化を自動で行ってくれるソフトを導入してもいいでしょう。事前に設定しておくだけで、一定期間以上ログインがなかった場合に一括削除してくれるソフトも無料で配布されています。

 

■生前整理で「これはやりすぎ!」という事例やトラブル

生前整理をはじめると、はりきりすぎてしまって必要以上に整理してしまう、という方が時折います。整理すること自体に快感を覚えてしまうことで、このようなトラブルの元になってしまうでしょう。

 

・必要なものまで捨ててしまう

最も考えられるのがこのトラブルです。生活に必要なものまで捨ててしまい、結局買い足してしまった、なんて方もいるでしょう。大型の生活必需品は特に慎重に整理してください。

 

・やりすぎた生前贈与や相続税対策

生前整理の一環として財産を生前のうちに分けてしまった方や相続税対策をした方は、やりすぎたことで自分の死後に大きなトラブルを招いてしまうこともあります。

 

例えば養子縁組による相続税対策をした方、相続税対策のためだけの養子である場合には、それが認められない場合もある、ということを覚えておきましょう。

 

生前贈与にしても、税理士や弁護士に相談の上行うべきです。生前贈与に使える制度は多々ありますが、しっかりと要件を満たしていないと贈与税が発生してしまう可能性があります。

 

・家族の大切なものを自己判断で捨ててしまった

家族の思い出の品を勝手に捨ててしまわないように気をつけましょう。自分から見たら不必要に思えるものでも、実は家族が大切にしまいこんでいただけだった、ということもあります。

 

家族と一緒に暮らしている方は、自分のもの以外には手を付けないように気をつけてください。

 

■まとめ

生前整理を張り切りすぎることで、さまざまなトラブルの元になってしまうことがわかりました。生前整理自体は悪いことではありませんので、「これを行うことでトラブルにならないか」よく考えながら進めていきましょう。

 

財産の整理については、税や法律のプロの指導のもと行いましょう。エンディングノートを活用しながら生前整理したい方は、こちらからの資料請求からどうぞ。