家族の為を思って残した財産によって、家族が税の負担で苦しむこともあるということをご存知でしょうか。相続税の控除額を大きく上回る資産を持っている場合、生前よりどのぐらい相続税がかかるのか知っておきましょう。
ここでは、相続に関わる費用や税金のお話と、相続税に対する準備方法をご紹介します。
■我が家はどのぐらい相続税がかかる?
まずは相続税を実際に計算してみましょう。相続税には、税金のかからない「基礎控除」というものがあります。
税金のかかる財産から差し引くことが出来る基礎控除の金額は「法定相続人の数×600万円+3,000万円」です。例えば法定相続人が4人いた場合には、「4×600+3,000」=5,400万円が税金のかからない範囲ということになります。
実際に、次の遺産を相続したとして相続税を計算してみましょう。借入金や葬儀費用は、税金の対象となる遺産から差し引かれます。
名目 | 金額 |
現金・預金・株式 | 5,000万円 |
土地 | 2,000万円 |
家屋 | 1,000万円 |
生命保険 | 5,000万円 |
借入金 | 900万円 |
葬儀費用 | 500万円 |
合計 | 1億1,600万円 |
この時、相続人は配偶者である妻と子ども2人の3人。法定相続通りに、3人が1億1,600万円の遺産を分割しました。
まずはここから基礎控除を引きます。基礎控除額は「3×600+3,000」=4,800万円ですので、税金の対象となる財産額は6,800万円となりました。
法定相続分で分割すると、配偶者が50%、子は25%ずつの相続ですので、配偶者は3,400万円、子は1,700万円ずつの相続となります。
次に、相続した遺産の金額に対して、相続税率をかけます。相続税率については以下の表を参考にしてください。
相続税率表
相続税の対象となる遺産額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円まで | 10% | なし |
1,000超~3,000万円まで | 15% | 50万円 |
3,000超~5,000万円まで | 20% | 200万円 |
5,000超~1億円まで | 30% | 700万円 |
1億超~2億円まで | 40% | 1,700万円 |
2億超~3億円まで | 45% | 2,700万円 |
3億超~6億円まで | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税率に当てはめると、配偶者は3,400万円ですので税率は20%、控除額は200万円となります。子は1,700万円ですので、税率は15%、控除額は50万円です。
最後に相続額に税率をかけると、実際の相続税額がわかります。
・配偶者 3,400万円×20%-200万円=480万円が相続税
・子 1,700万円×15%-50万円=205万円が相続税
実際の遺産相続では、課税対象となる遺産の計算も複雑になっていますので、このように単純には計算できません。また、配偶者は特別控除として1億6,000万円まで非課税ですので、このパターンの時、実際には税金はかかりません。
本当の遺産額と相続税額が知りたい時には、遺産相続に関するプロに相談してみましょう。
■弁護士や行政書士に依頼し相続した場合の費用
遺産相続・遺言書に関するプロといえば、弁護士または行政書士・司法書士、相続税のプロは税理士です。相続税の負担を軽くするための対策を知りたい、相続トラブルを避けるために生前に出来ることをしておきたいのであれば、今から弁護士や行政書士・司法書士、税理士に相談してみると良いでしょう。
しかし気になるのがその費用ですよね。実際に弁護士や行政書士に相続税に関する相談をした場合、どのぐらいの費用がかかるのでしょうか。
・まずは無料相談から
弁護士事務所に個別相談すると、30分5,000円ほどするのが一般的ですが、無料相談を行なえるものもあります。
お金を払って相談しても「違う人に依頼したい」ということもありますから、なるべく初回は無料相談対応のところに連絡しましょう。
無料相談では、何について悩んでいるのかヒアリングが行われます。相続税に関する相談であれば、財産に関する書類をすべて持っていくか、事前に一覧表を自分で作って持っていくとスムーズに話が進みます。
・相続に関する手続きの費用
生前に遺言書を作成する時には20万円、遺言書の内容を執行するための費用は30万円ほどが相場です。
相続放棄は10万円、遺産分割協議では最低金額が20万円からとなっています。いざ遺産分割が必要になってから依頼すると、多額の弁護士費用がかかることもありますので、なるべく生前から対策をとっておきましょう。
もし相続争いが激化した時には、法定で争うこととなります。その場合には、弁護士に対する着手金、成功報酬、日当を支払わなければいけません。これは遺産総額によって報酬が変わります。
最低でも着手金は20万円から、成功報酬は受け取ることとなった遺産額によってパーセンテージが異なります。相続について法定で決定することになった場合には、事前に成功報酬額を計算し依頼したほうが良いでしょう。
・生前からの相続税対策には
生前からの相続税対策では、弁護士や行政書士ではなく税理士に依頼することとなります。税理士は税のプロですから、なるべく相続税を支払わなくても良いように対策をとってくれるでしょう。
税理士に依頼すると、現時点での財産から相続税を詳しく試算し、さらに問題点を洗い出して生前からとれる相続税対策について提案・実行してくれます。
こちらも財産額によって報酬が異なりますが、おおよそ20万円ほどから行なえるのが一般的です。
■相続のプロがいないと起こりうる相続のトラブル
ここまでで「弁護士や行政書士、税理士に依頼するのは安くない」と感じた方も多いでしょう。しかし、相続税の基礎控除額以上の財産を所有している場合には、出来る限りプロに依頼し、相続税対策をしておいたほうが良いでしょう。
相続のプロにあらかじめ依頼しておけばトラブルにならなかった、ということで相続争いとなってしまったとしたら悲しいですよね。以下のような場合には、事前に相続のプロに相談しておきましょう。
・婚外子(非摘出子)がいる
・相続税対策で養子をとりたい
・離婚した妻子がいる
・内縁の妻へ遺産相続したい
・法定相続とは異なる分配で遺産相続させたい
・親族に遺産相続させないようにしたい
■まとめ
相続税には基礎控除があり、財産が基礎控除内であれば相続税について心配する必要はありません。相続税を少しでも減らしたい方は、今から税理士に相談し対策をとっておきましょう。
さらに相続税および相続についてのトラブルを避けたいのであれば、弁護士や行政書士、司法書士に依頼し遺言書を作成しておきましょう。遺言書の作成によって避けられるトラブルは多々あります。既に相続トラブルとなってしまった方は、今すぐプロにご相談を。
お問い合わせはこちら(http://yuigon.jp/)。自分が亡き後に家族で争うことがないよう、今のうちから対策をしておきましょう。